1232、もしすると人間は独話と独話の独話同士で対話の演技をしているのではないか

 もしかすると人間は独話と独話の独話同士で対話の演技をしていのではないか。もしそうならば、これこそが「お笑い」である。確かに「お笑い」で面白いのは、独話と独話で対話の演技をしている人間の真実を明らかにしてくれているような「お笑い」である。昔、こんなことがあった。一人の求道されている方にお祈りすることをお勧めした時、その方は一度は祈ろうとされたのであるが、突然「独り言みたい」と言われて笑ってしまわれた。当時の私は、そのような反応に困ってしまったが、今思えば、これって深い内容だと思う。人間は本来、独話のほうが得意なのだ。神との対話である祈りを本気で信じることができないものなのだ。そこを乗り越えることがクリスチャンの道である。つまりブーバー「我と其れ」の世界から「我と汝」の世界に変わる瞬間である。