イエスとは誰なのか

イエスとは誰なのか?

イエスとは誰なのか?

 わかりやすい良い本だと思いました。重要な視点が一杯詰まっています。ですから、この本でクリスチャンでない方々と一緒に学ぶのもいいんじゃないかとも思いました。私の伝道説教をこの本でもう一度整理してみようと思いました。いつもながら、イギリスの体制教会の中に、このような有力な学者でありながら、わかりやすく福音を伝える人たちがいることに驚き、感謝します。(1930年生まれ、カンタベリー大主教、ヨーク大主教の顧問)
 
 「イエスは神と自分との関係を表すために「アッバ」という言葉を用いました。これは「お父さん」という意味の言葉であり、ユダヤ人の子供が父親に対して用いていた、親しみに満ちた、家族同士の言葉でした。神をこのように親しみを込めた言葉で呼ぶ姿は、イエス以前、イスラエルの歴史のどこを探しても見つけることができません。それは考えることさえ許されないことでした。ところが、このナザレ出身の大工は、神のことを、確信に満ちてそのように呼んでいるのです。イエスは、神に対する自分とは、父に対する息子のようなものだと言いました。そして、自分に従う者たちもまた、神のことを「アッバ」と呼んでもかまわないのだと教えたのです。これは人々にとって、あっけにとられるほどのことでした。福音というものの核心は、このアラム語の短い単語「アッバ」の中に含まれます。失敗そのものである私たち、罪人である私たち、神から遠く疎外されてしまっている私たちが、神の家族の一員となれるのであり、神を「お父さん」と呼ぶことができるというのです。神の国の中心にいるのは愛に満ちた父であり、その父が、私たちがそれに値しない者であるにもかかわらず、私たちに憐れみを与えてくださる。そして、神の家族に対して恥をかかせるだけの者である私たちを、養子にすると約束してくださっている。・・・・・」(69頁)