1220、パスカルの「哲学者の神でなく・・アブラハムの神」とは?

アブラハムの神」に理念はなかった。啓示の神がアブラハムに啓示された時に出会った頃、全く理念はなかった。また「パウロの神」にも理念はなかった。啓示の神がパウロに啓示された時に出会った時点では理念はなかった。しかしパウロがキリストと共に生きていく中で理念ができていった。例えば、パウロの「エンクリスト」という概念は、後になってパウロによって神学化された概念であった。パウロの中心に神との「我と汝」(ブーバー)があり、周辺に神についての「我と其れ」(ブーバー)があった。周辺の「我と其れ」は哲学であり神学である。パスカルが「哲学の神でなく・・アブラハム神」に祈ったのは、「我と汝」の神に出会ったということである。ブーバーはユダヤ教であるにもかかわらず、これはパスカルの回心であったと信じている。