921、使節団の描いた西洋国家の土台は馬小屋の基督ではなかった

 伊藤と岩倉は使節団として西洋諸国を歴訪したとき、近代国家に圧倒され、そこに基督教があることを認識し、日本にこれに相当するものがないと政治的に考え、これが天皇制を作る動機となっていったのであろうと思われる。つまり西洋のキリストに相当するものを作るビジョンが天皇制という形になったのであろうと思われる。しかし問題は、彼らが見た程度のキリスト教だった、ということである。すでにそこにあったのは空洞化したキリスト教であった。表面的現象だけを真似て日本という形を作ろうとしたところに読み間違いがあったと思われる。