CLG12ステップ 仲間の声その1の原稿(2003年)

十二ステップのスピード 武田信嗣

 私がどうして「基督者の生き方・成長の十二ステップ」を知るようになったか、ご紹介させてください。最初のきっかけは、私の家内の父が自分の牧会する教会の近くに転居し、私達夫婦がそこを牧師館としたことからです。その父がアルコール依存症であったことから、ディアコニアセンターを紹介して頂き、家族間の関係のなかにある嗜癖に初めて目が開かれたわけです。第二番目のことは書物からです。例えば、今、牧師の間で注目されている「霊性神学」という分野のジェームズ・フ−ストンの「心の渇望」という本を読んだとき、「ああ、そのまま依存症分析の視点だ、まるで十二ステップのような本だな」と思ったものです。その他、ヘンリー・ナウエンとかクリスチャンジャーナリストのフィリップ・ヤンシーも同じ視点を持っていることに気づくようになり、十二ステップの影響力の多大さを思い知ったわけです。それから先日のことですが、デービッド・アウグスバーガーというフラー神学校の教授から、和解のプロセスについての講演を聞きました。先生は、多くの和解が早いスピードで安易に解決されていく問題点を指摘されたのですが、十二ステップのゆっくりとしたスピードを知る私にとって、とても共感できるものでありました。講演後、先生と直接お交わりしたとき、彼も十二ステップの必要性を強く訴える方だったのです。

 さて私は聖化という神学用語をもし現代的な依存症の用語で説明しても良いのならば、「一生涯かけてじっくりと嗜癖からの回復を頂くこと」と理解しています。そして教会こそが嗜癖からの回復を提供する、霊的・共同体的リハビリテーションセンターだ、このように教会が生きることが、もっとも創造的なことだという理解で牧会をしていこうとしています。その意味で広瀬先生のこの働きに賛同し、何らかのご協力ができたらと思っています。