人格関係について11・・連続物(現在、私の一番の関心事なんです)

「初めに関係ありき」?

 さて、そのようななかで、最近の霊性神学者ジェームズ・フーストンも注目する、スコットランド宗教哲学者ジョン・マクマレーのギフォード講演に見られる「関係の中にある人」(persons in relation)という講演集は、どちらかと言うと「初めに関係ありき」の哲学に分類できましょう。なぜならマクマレーは「自己とはただ他者との動的な関係の中にのみ実在する。自己とは他者との関係によって構成されるものである。それは関係の中に存在を持っている。」と主張するからです。フーストンは、彼の考えを受けて、「すべてのものが、わたしの父から、わたしに渡されています。それで、父のほかには、子を知るものがなく、子と、子が父を知らせようと心に定めた人のほかは、だれも父を知る者がありません。」(マタイ11:27)という御言葉と、マクマレーの「孤立し、純粋に個別である自己などありえない」という宣言は一致していると述べています。


 フーストンはマクマレーの哲学を三位一体論理解を深めるために用いています。ただマクマレー自身は、何も三位一体論を語る哲学者ではなく、小さな共同体から、社会、国家、そして国際関係に至るまでその適用を「多位」的に広げています。英国首相ブレアがマクマレーを信奉し、実際に政治に適用しようとしたものは、「三位一体」という領域ではなく、むしろ「多位一体」(私の造語)という領域だったと思います。

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